若かりし日の弘法大師が修行した、修禅寺の根本道場
かつては「桂谷山寺」と呼ばれ、若き日の空海(弘法大師)が高野山を開山する前に修行したと伝えられる修禅寺奥の院。またの名を正覚院ともいい、修禅寺から約5㎞西へ行った湯船集落にある。お堂から階段を登った崖の上には、弘法大師は修行がしたと伝わる「阿吽の滝」と呼ばれる滝が。滝の飛沫をかぶる弘法大師像と降魔壇という修行石を見ることができる。滝の水量は減少してしまったものの、当時を偲ばせる荘厳な雰囲気は今なお健在。知る人ぞ知るパワースポットとして人気がある。滝を囲む驅籠窟と呼ばれる岩盤は、弘法大師が奥の院界隈に出没した天魔地妖を閉じ込めたとされる場所。その後仏法が世に広まり、国土が治まったと伝えられている。
年に1度の「星まつり」で、無病息災を祈願
毎年冬至には1年の災厄を払い、新年の幸福を祈る恒例行事「星まつり」が行なわれる。堂内は、家族の衣類を入れた風呂敷包みを持った参拝客で満席に。中央にしつらえた護摩壇では歴代住職に伝わった「修禅寺護摩」が焚かれ、僧侶の手で持参した風呂敷包みが護摩の炎にかざされる。この衣類を着ると、新年も強運で無病息災で過ごすことができるといわれている。 現在の修禅寺は曹洞宗の禅寺だが、もともとは弘法大師空海開基の真言宗。そのためこの密教の秘法は、宗派をこえて今に伝えられている。参加費は無料(護摩祈祷料は別途)で、地元の方々による甘酒やお煮しめなどの振る舞いもある。