「無名異焼」の創始者から人間国宝まで、5代続く名門の窯元
1844年江戸後期、佐渡金山の坑道から採れる赤褐色の粘土「無名異」を使って作られた「無名異焼」。極めて細かい土の粒子による滑らかな手触り、焼くと硬く締まる丈夫さ、鮮やかな赤茶色を主な特徴とする。伊藤赤水の先祖である伊藤富三郎が「無名異焼」をはじめ、その後歴代の後継者らにより技術や芸術性が受け継がれ、磨かれてゆき、5代目伊藤赤水において、極めて高い技術と芸術性が認められ人間国宝に選定された。
5代目伊藤赤水の優雅さと野性味、多様な芸術性に触れる
展示館では5代目伊藤赤水の数多くの作品を鑑賞できる。優美な花模様の作品は、繊細に手で描かれているように見えるが、「練り上げ」という手法で作られている。色の違う土を幾重にも重ね、丸め、輪切りにし、その断面を薄く並べ形作る独特の技法を極めたもの。また、無名異焼の質感を生かした無駄のない形の器に、炎を焼きつけるように色を変化させる「窯変」、無名異の土に佐渡の海辺の岩などを砕き練りこみ、猛々しい佐渡の自然を表現した「佐渡島」など、同じ人物からとは思えない多様な作品を生み出す。国宝となっても、更なる模索を続け無名異焼の可能性を追求し続けている。
初代からの歴代赤水作品が並ぶ貴重な展示
展示室奥の小さなギャラリーでは初代から4代目に渡る歴代の作品も見る事ができる。時代性や作風の違い、作者の個性などが見て感じ取れる、極めて貴重な展示である。
手に取って選び購入できる展示品の数々
館内に展示される伊藤赤水作品を始め、赤水窯の職人たちが制作した茶碗やカップなど、ほとんどの作品が販売されている。