佐渡金山の近代化を象徴する「道遊抗」
コースのハイライト、「道遊抗」では、江戸時代に比べ各段に発達した坑道を歩き、内部を見学することができる。「道遊抗」は1899年、新たな主要鉱脈開発のために作られた。国内でいち早く導入された削岩機で作られた坑内は広く、安全性も進んだ。中でも最も大きな進歩は物資運搬用に作られたレールだ。トロッコがいくつも往来し作業の効率化に貢献した。今でも坑道にはレール跡やトロッコが残され、当時の様子を見ることができる。坑道最終地点には大穴の巨大空間が広がっており、火薬技術の進歩と機械導入による破砕、粉砕による大規模採掘の跡が残っている。この真上は、頂上が二つに割れた山「道遊の割戸」(どうゆうのわりと)の深いV字の亀裂に繋がっており、繁栄を極めた金山採掘のダイナミズムを体感できる。
佐渡金山のシンボル、二つに割れた山「道遊の割戸」
「道遊の割戸」は、江戸時代から現代に至る400年間、採掘が繰り返された金山のことである。江戸時代は地表を掘り進める「露天掘り」が採用され、山頂から深く鋭く掘る工法のため山が二つに割れている。一方山の下部は、近代化された技術による発破と機械による粉砕により大穴が開けられている。この様子を間近かに見る事ができるのも、このコースならでは。最大幅35m、平均幅10mで佐渡金山最大の鉱脈を誇った山の、激しい採掘の歴史が実感できるだろう。明治官営鉱山コースは最後に、青々とした草地が広がる「高任公園」に辿り着く。振り返ると、そこには「道遊の割戸」が悠々とそびえているのが印象に残る。「明治官営鉱山コース」の見学所要時間はおよそ40分。