奈良の中心的存在である奈良公園
710年の遷都以来、奈良は多くの歴史的文化財のみならず、その地形、風土そのものが、古の情緒を湛える土地として人々に愛されてきた。その中心的存在である奈良公園の660ヘクタールもの広大な土地には、世界遺産東大寺、興福寺、春日大社があり、仏教美術を中心とした多くの国宝を所蔵する奈良国立博物館がある。また、緑地には美しい風景を生み出す池が点在し、その向こうにはなだらかな稜線を描く若草山や春日山原生林が雄大に広がる。自然と歴史的建造物が、長い時を越えて共存し調和する、世界でも比類なく美しい都市公園だ。 一方で、奈良公園といえば鹿が有名である。園内では鹿のおやつ”しかせんべい“が売られ、餌付けを楽しむことができる。しかし、彼らは餌付けされ飼われている鹿ではなく、国の天然記念物に指定された野生の鹿だ。古くから鹿は神の遣いとして人々に大切にされてきたため、人を恐れることなくこの土地に共存し続けると考えられている。(発情期には荒れるので要注意) 文化財だけでなく、かやぶき屋根の美しい古い日本の家屋を利用した茶屋もあり、抹茶、コーヒー、甘味などのほか、そばやうどんなど軽い食事もできる。リーズナブルな値段で、歩き疲れた時の休憩にいい。 自然があふれる奈良公園だが、4月初旬の桜の季節にその美しさは際立つ。園内1700本の桜が咲く風景は、日本さくら名所100選にも選ばれている。 四季折々の美しさを誇る奈良公園で、鹿と戯れ、自然と古寺が共存する1300年の美を心から堪能してほしい。