苦しむ女性のための「駆け込み寺」
鎌倉幕府8代執権北条時宗の妻、覚山尼(かくさんに)が1285年に建てた寺。鎌倉尼五山第2位の格式をもつ尼寺で天皇の皇女や豊臣家の娘など名門の女性が代々住持を務めた。覚山尼は夫の暴力に苦しんだ女性はこの寺で3年間修行をすれば夫の許可がなくても離婚ができる「縁切り法」を施行。この寺に入るため、または追いかけてくる夫から逃れるために寺に駆け込むことが多かったので「駆け込み寺」「縁切り寺」などと呼ばれるようになった。女性の離婚請求権が認められる1872年まで500年以上にわたって多くの女性を救う。役割を終えた寺は男性の僧侶となり、禅寺として禅を広めるようになる。
展示室、茶室、庭園などみどころはたくさん
境内には寺宝を展示する松ヶ丘宝蔵がある。三行半(みくだりはん)と呼ばれる離縁状の展示や歴史など縁切り寺についての様々な知識を得ることができる。毎年2月~3月にかけて恒例の「東慶寺仏像展」を開催。東慶寺所蔵の仏像を松ヶ丘宝殿に集めて展示する。女性的な美しさで知られる水月観音像は普段は事前予約しないと見られないが期間中は予約なしで見ることができる。 東慶寺は花の寺として知られ1年中、四季それぞれの花が咲く。特に6月の花菖蒲やイワタバコのシーズンには立礼席(りゅうれいせき:正座ができない人のために椅子に腰かけてお茶を楽しむ席)の茶室「白蓮舎」が茶店として公開。じっくりと花を楽しむことができる。