世界遺産の森を走り抜ける
屋久島の西側、栗生・永田集落を結ぶ海岸沿いの約20kmに渡る道路が西部林道と呼ばれている。そのうちの約15キロは世界自然遺産地域に含まれ、海岸部から山頂部まで人の手が加わっていない森林が続いている。屋久島といえば樹齢数千年の屋久杉や苔の森をイメージするが、世界遺産に登録された基盤となった照葉樹林が広がる森だ。その照葉樹林が北半球最大の規模で残っているのが、この東シナ海に面した無人地帯に広がる西部林道の原生林。屋久島で唯一海岸線から世界遺産に登録されているところで、また唯一車で行ける世界遺産登録地でもある。
野生動物や貴重な植物にも出会える森
森には野生のヤクシカやヤクザルが多く生息しており、路上での遭遇率も高いことで有名。絶滅危惧種ヤクタネゴヨウの自生地としても最大の地域で、標高300メートルより高地には多くのゴヨウマツが見られ、西部林道のほぼ中央にある半山というエリアには、気根が垂れ下る巨大なガジュマルの木も見られる。西部は急峻な地形になっており、標高1323メートルの国割岳まで、見事な植生の垂直分布が一望できる。屋久島を一周する道路の一部でもあるので、ぜひ車で島一周のドライブを楽しみたい(島1周は所要約2時間)。道幅が狭く、野生動物が急に現れるので、スピードを出さずのんびりと緑の中をドライブしよう。また、野生動物に触れたり、餌を与えることは禁止されている。時計と反対周りの方向にドライブすると、下り坂になっているのでおすすめだ。ドライブだけでなく、西部林道の森を歩くガイド付きエコツアーなども開催されている。