表門から入り梅林へ。陰と陽の移り変わりを体感して。
1842年の創建当時には現在の東門はなく表門から入っていた。だからむしろ表門から入ることで偕楽園の本当の良さが分かるのだ。最寄り駅のJR偕楽園駅は東門に入ることになるので、1つ前の駅、水戸駅で下車しバスで表門へ行きたい。偕楽園のテーマは「陰と陽」。わら葺き屋根で黒塗りの当時のままの表門からコケラ葺きの門、一の木戸を抜けると右に大杉森、左に孟宗竹林があらわれる。うっそうと茂る森林の中を進むにつれ、静けさがいっそう際立つ。最初の分かれ道に出たところで右側の崖下を見下ろすと暗闇に浮かぶオアシスが。園内にある茶室、好文亭の茶の湯にも使用された吐玉泉だ。傍らには樹齢800年の太郎杉。透き通る湧き水と歴史の長さを物語る大杉はぜひ立ち寄りたい場所だ。吐玉泉での休息後は再び大杉森へ。この一帯にはクマザサが密生しており青苔でしっとりと冷えた林道にしばし静寂のときが訪れる。再び二股の分かれ道に出たら好文亭方面へ。天下の名亭といわれる好文亭は開かれた陰の世界。詩歌やお茶の会を催すために建てられ、3階からながめる梅林や千波湖の眺望は見事。好文亭を出て目の前にあるのは芝前門。この辺りが偕楽園最大のみどころ、陰と陽が移り変わる場所。門をくぐると眼前に広がる大梅林。右側は千波湖を見下ろす絶景が見られる見晴らし広場。鮮やかな色彩はそれまでの道とは全く異なる世界を見せてくれる。陰と陽を巧みに演出した庭園は訪れる人を日本的な安らぎへと導いてくれるだろう。