広島県から唯一「棚田100選」に選ばれる
広島市の中心部より車で約1時間。井仁地区は山に囲まれたすり鉢状の傾斜地。細いトンネルを抜けると突然視界が開け、階段状に作られた美しい水田風景が広がる。井仁地区は日本の昔ながらの風景を今にとどめる貴重な文化遺産として国内外から高い評価を受けている。農林水産省の「棚田100選」には広島県から唯一選ばれているほか、アメリカCNNのウェブニュースでは「日本の最も美しい場所31選」の1つとして紹介された。324枚の水田とあぜ道が作る幾何学的な模様はまるで芸術作品のようだ。集落の展望台からは石垣で仕切られた棚田の全景を望むことができる。
田植えから始まる稲の成長に合わせた季節それぞれの美しさ
田植えが終わる5月下旬~6月下旬は田んぼの水面が映えて、見学におすすめ。7月~8月にかけては成長した稲が、一面緑色におおわれる。9月上旬には稲穂が実り、黄金のじゅうたんを敷き詰めたよう。周辺にはコスモスも咲き、井仁地区全体が色彩豊かで活気づく季節となる。また冬の棚田も素晴らしい。静けさの中、一面雪でおおわれる1月頃はそれまでとは全く異なる景色を見せる。
年に2回のイベントで伝統的農法を体験する
稲作の時期に合わせて年に2回「井仁棚田体験会」が開かれる。6月の田植えの部、10月の収穫の部ともに手作業で行われ、収穫した稲は“はで干し”と呼ばれる昔ながらの方法で乾燥させる。地元棚田米の昼食付きイベントは予約必須だ。