厳島神社本殿に隣接し、ひときわ目立つ巨大な建物・千畳閣
畳857枚分の広さを持つことから通称「千畳閣」と呼ばれる。正式名称は「豊国神社本殿」で国の重要文化財に指定されている。もともとは1587年に豊臣秀吉が戦没者供養のため厳島神社の大経堂として建てたものだが、明治時代の神仏分離令により秀吉を祭神とする豊国神社(厳島神社末社)に改められた。厳島神社本殿に隣接する高台に五重塔と並んで立つ瓦屋根の巨大な建物は遠くからでもひときわ目立つ。
壮大な風格を漂わせる、400年以上未完成の建物
建築途中で秀吉が亡くなったため、建物は400年以上未完成のままだ。壁も天井板もない広い空間に116本の太い柱が並んでいる邸内は壮観。高台にあるため吹き抜ける風が心地いい。また床板の補修として行われた「埋め木」はひょうたんや徳利の形をしており、探し歩くのも楽しいだろう。金箔瓦の屋根など安土桃山時代の豪快な建築様式の雰囲気を残しているものの、未完成のためゴテゴテした装飾が少なく素朴な雰囲気も合わせ持つ。このアンバランスさがこの建物の魅力でもある。
バラエティ豊かな絵馬も見どころ
「絵馬殿」と呼ばれるほど絵馬がたくさんある千畳閣。明治時代中期まで厳島神社の東回廊に掲げられていた奉納絵馬が移された。100枚以上の絵馬が飾られており、古いものでは江戸時代中期の絵馬も。神社でよく見かける願いごとを書く絵馬とは異なり、天井に張り巡らされた梁のいたるところに畳3枚分ほどの絵馬が飾られている。バラエティ豊かな絵馬を見比べてみるのも楽しい。