松尾芭蕉やチャップリンをも魅了した、勇壮な水面の舞
清流長良川に1300年以上昔から伝わる長良川の鵜飼。伝統装束に身を包んだ鵜匠が鵜を自在にあやつって鮎を捕るという、古典的な漁法だ。暗闇の中、赤々と燃えるかがり火を川面に映し、鵜匠と鵜が一体となって漁を繰り広げる光景は、長良川の夏の風物詩。まるで太古の昔にタイムスリップしたかのような、幽玄の世界が広がる。静寂の中聞こえてくるのは、鵜匠が鵜を励ます「ホウホウ」という掛け声や舟べりを叩く音のみ。これらの音は、「日本の音風景百選」に選ばれている。ちなみに長良川の鵜匠は現在6名。正式名称は宮内庁式部職鵜匠といい、御料鵜飼で皇族が食される鮎を捕って納める特殊な職務も担う。鵜匠は代々世襲制で、親から子へとその技が受け継がれている。
1300年以上続く伝統の漁法を、身近で見学
屋形船を貸し切って鵜飼を見学することもできるが、乗合の遊覧船ならリーズナブルに楽しむことができる。鵜飼観覧船事務所で受付をした後、鵜匠による説明を聞き乗船。長良川や金華山の景色を楽しみながら、鵜飼の観覧ポイントへと向かう。夜の帳が降り、鵜飼の開始を告げる花火が上がればいよいよスタート。観覧船は鵜舟(鵜匠の船)に併走しながら川を下り、鵜が鮎を捕らえる様子(狩り下り)が見学できる。そして鵜飼のクライマックス、総がらみへ。6隻の鵜舟が川幅いっぱいに横隊となり、一斉に鮎を浅瀬に追い込む様子は迫力満点だ。鵜を自在に操り、鮎を捕る鵜匠の手綱さばきは圧巻。ぜひ、遊覧船に乗って間近で見学したい。