1500年代の武士の工夫と思い
歴史上の人物たちの思いをここまで現実的に考えることができる城は珍しい。再建された建物との違いは歴然だ。決して大きいとはいえない城だが、戦国武将の生活や思いがたくさんつまった場所をぜひ訪れてほしい。 この城を訪れると戦国時代の城のつくりに城を守り続けた武士の工夫と熱意を感じることができる。
簡単には姿を見せない城
戦国時代の城は敵が簡単に中まで入れないよう工夫されている。表門に続く道は曲がりくねっていて、直進できない。また攻めづらいように丘の上に立つ。石畳の坂をしばらくのぼると城内へ入ることができる。
常に敵を意識した内部
靴を脱いで城の中へ。実際の入り口は地下で石垣の一部がむき出しになっている。階段ははしごのように急こう配。足元だけでなく柱と柱の間をつなぐ長押も低いため頭上にも注意が必要。これも敵が侵入してきたときに一気に攻め込まれないよう配慮されているため。ほかにも敵めがけて石を落とす窓「石おとし」や側面から敵に攻撃を加える「付櫓」、身を隠すための「武者隠しの間」など戦国時代の特徴がよくあらわれている。現在は城の中で鎧や屏風などの展示品があり人気が高い。
天守閣
最上階は360度の眺望。「廻縁」といって最上階を取り巻く廊下は縁が城の外側にあり珍しいつくり。雪がたまると木が腐るため、寒い土地では作ることができない。なんといってもすばらしい眺めは殿様気分にひたることができる。縁は膝ほどの高さしかなく、柵などもないためかなりスリルがある。 犬山城が倒壊をまぬがれてきた理由の1つに見晴らしの良さがある。強い敵が来たと分かるとすぐに降参し、抵抗して戦うことをしなかったからだ。いずれにせよ、400年以上前に建てられたお城があることは貴重な体験だ。