四国をぐるりと一周囲むように点在する弘法大師(こうぼうたいし)空海(くうかい)が修行のためにたどった八十八の寺院。1~88番まで約1400kmの道のりにもなる。1200年前に弘法大師が人々の災難を除くためにひらいた霊場が四国霊場といわれ、後に弟子が大師の足跡を遍歴したのが霊場めぐりの始まりと伝えられる。大師と同じ道をたどることで弘法大師様の霊験にあやかりたいという人々の願いから日本各地から「お遍路さん」となって男女や年齢や宗派を問わず霊場を訪れている。人間には煩悩が88あり、霊場を八十八ヶ所巡ることによって煩悩が消え、願いがかなうと言われている。また、日本では古代から自然の中に宿る神を崇拝する風習があり、特に辺境の山、海、森などは人々の信仰の対象で、自然の厳しさや優しさ、仏の試練、人情の温かさを感じながら歩くことができる場所として、四国遍路は人々を魅了し続けている。60代~70代の世代に人気だが、現在では自分を見つめなおす旅として若者や海外からの参拝者も増えている。全行程を歩き遍路が一番良いとされるが過酷で時間と体力と費用がかかるため、バスツアーなどで気軽に参加し88ヶ所巡りを達成するお遍路さんも多い。その中で徳島県内には23の霊場(寺院)が存在する。第1番が徳島県の「霊山時(りょうぜんじ)」から始まり、お遍路さんがこころの準備をととのえるスタート地点でもある。