天上界への道のりを思わせる配置
家光は亡くなってから天皇より「大猷院」という名前をもらった。大猷院とは大きな政治を成しとげた人という意味だ。大猷院は大小5つの門をくぐるたびに景色が変わり、仁王門から本殿までの道のりは天上界へのぼっていくようだといわれている。大猷院の入り口仁王門をくぐると見える大きな門が、二天門。仏教に取り入れられたインドの守護神4人のうちの2人、持国天と広目天を祀っていることから二天門と呼ばれる。背面には風神・雷神(自然現象のうち最も身近に起こる代表的な強風と雷鳴を神格化したもの)が配置されている。二天門をくぐり続く石段をのぼりきると灯籠が見渡せる。ここからの眺めは天上界からの眺めに例えられる。
極彩色の夜叉像に注目
墓所の最初の入り口が夜叉門。色鮮やかな色彩が目をひく。正面、背面の左右4ヶ所に4人の夜叉(インドの鬼神で仏教に取り入れられた)が納められ、墓所を守っている。夜叉門をくぐった拝殿の前、大猷院の中心に位置には唐門がある。小規模な門だが隅々まで繊細な彫刻があり、金と白を基調とした色彩はとても気品がある。門のわきにある塀には鳩の彫刻で埋め尽くされている。一説によると鳩は、家康と家光の関係を表しているといわれている。本殿のうしろ、大猷院の最も奥に位置する家光のお墓へは皇嘉門から入る。中国の建築様式を取り入れたことから「竜宮門」とも呼ばれている美しい建物。門をくぐるときに見上げると天井には天女が描かれており、ここから先が聖域であることを象徴している。皇嘉門は公開されておらず、くぐることができない。