当時の生活ぶりをそのまま今に受け継いでいる宿場町
東京・日本橋から、本州中部の内陸を経由して京都の三条大橋へと向かう道が中山道とよばれていた。長野県南西部にある妻籠宿はその中山道にある69の宿場町のうち日本橋から42番目の宿で、たいへんな賑わいだった。全長500mの妻籠の町並みは、1976年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されてからも、江戸時代の宿場町の面影そのままを守り続けている。
面影を残す建物群
要人の宿泊施設“本陣”の予備的施設となる脇本陣奥谷は当時の建築技術を駆使した建物。なかでも冬の晴れ間に格子から差し込む光が幻想的で、この時期には多くの観光客が訪れる。国の重要文化財に指定されており、妻籠宿本陣、歴史資料館とともに南木曽町博物館として一般公開されている。町の有形文化財に指定されている上嵯峨屋は妻籠宿を代表する最も古い建物の1つで、庶民の宿泊施設の様子がよく分かるようになっている。ほかにも今でいう掲示板の高礼場や妻籠宿の原点ともいえる寺下の町並みなど、江戸時代にタイムスリップしているかのような雰囲気だ。
年間を通して行われるイベント
妻籠宿ではミツバツツジ祭りや妻籠宿火まつり、ホタル観賞など年間を通してイベントが開催されている。中でも人気は毎年11月23日に開催される「文化文政風俗絵巻之行列」。約130人の人々が役人や武士、百姓、町娘に扮し、町並みを練り歩く。メインイベントの花嫁行列のほか、伝統芸能の太鼓演奏など、江戸時代の歴史を感じるイベントだ。