運を占う運玉と亀石
創建は不明だが、782年に再興されたと記録が残る歴史ある神社。縁結び・夫婦和合・子授け・安産などの御利益で信仰を集めている。太平洋に突き出した鵜戸崎岬の突端の断崖にある洞窟の中に、朱塗りの色鮮やかな本殿が建つ珍しい地形の神社。荒波が打ち寄せる岬のまわりには奇岩が連なり、美しい景色が望める神社としても有名。海岸の奇岩群の中にある亀の形をした「亀石」のくぼみに向かって素焼き粘土の「運玉(うんだま)」を男性は左手、女性は右手で投げて入ると願いが叶うとされる。運玉には運という文字が刻まれており、御初穂料を払って購入できる。
安産の信仰を集めるお乳岩
日本神話の伝説の舞台としても知られ、山幸彦(やまさちひこ)の子を身ごもった豊玉毘売(とよたまびめ)が鵜戸神宮本殿の洞窟内で出産する際、覗かないようにと伝えたが、心配した山幸彦が覗いてワニの姿に戻って出産する姫の姿を見てしまい、それを恥じて悲しんだ姫は海原の国へ帰ってしまった。この際、子供への愛情と健やかな成長を願い、自身の両乳房を洞窟内にくっつけていかれたといわれる。現在も社殿の奥の洞窟には「お乳岩」として、乳房の形をした岩が2つ残っており、安産の信仰を集めている。また、このお乳岩から滴り落ちた清水で作られた「おちちあめ」は妊婦さんが食べるとおちちがたくさん出て赤ちゃんが健やかに成長すると人気を集める。境内では「おちちあめ湯」を夏は冷やし、冬は温めて提供されており、おちちあめに生姜を加えた飲み物で、古来より安産授乳無病息災の信仰を集めている。