主人がこだわりぬいた部屋の数々
豊臣秀吉に仕えていた小川土佐守祐忠という人物がいたが、関が原の戦いに敗れ出家した。その長男が二条城の城下にて、米や両替を扱う店を始めたのが始まりだ。このような店を陣屋というが、この他にも大名たちの宿泊所としても使用されていた。現在も代々小川家の住宅であるが、現住民家としては日本で2番目に国の重要文化財として登録されている建築物だ。防火にすぐれた構造や、からくりなどのしかけがされていることから、建築学的価値が高いとされている。また茶室が7つ造られていたり、大広間の透かし彫りや陶器の釘かくしなど主人の家へのこだわりが垣間見える数奇屋建築として見所のある建物である。また防犯上のつくりで、見張り部屋や施錠が出来るなどの工夫も多く見られる。そのほかにも、能の舞台としても使用できたお能の間や、小川家の故郷である奈良をイメージした春日の間などがある。温度調節できるよう工夫された日本最古の陶板浴槽やまるで水上にいるような雰囲気の茶室など、いたるところに当時の主人の趣向がこらされているのがわかる。
防衛建築の様々な工夫と防火対策
二條陣屋の見所はその巧みな防衛建築だ。裁判のためにこの地を訪れていた宿泊者のために、逃げ道を考えて設計されている。武者隠しといって天井に見張り場があったり、吊階段で2階への経路がわかりづらくなっていたり、更には抜け道や隠し怪談など、まるで忍者屋敷のようなつくりになっている。また銅版や小窓も用いて飛び火からの火災を防ぐ細やかな工夫がみてとれる。見学には電話予約が必須。ホームページから確認が可能だ。