天皇ゆかりの位の高い寺
728年に最澄が道場として比叡山内に創建したのが始まりで、1656年に現在の場所へ移された。正式名は曼殊院門跡といい、門跡とは皇室一門が住職であった位の高い寺院の事。一代目住職が管原家の僧侶であったことから、1800年代後半までは住職が北野天満宮の管理職も兼務しており、現在も菅原道真公を祀る祠「満宮」がある。重要文化財も多く、寺院の台所「庫裡」、「大玄関」には狩野永徳画の「虎の襖絵」、「小書院」には10種類の寄木で作られた曼殊院棚や欄間飾りなどがあり、名勝枯山水の庭園も見応えがある。また、作者年代不明の「幽霊の掛け軸」が収められていることでも有名。
鶴と亀に見立てた島も
桂離宮を造園した智仁天皇の皇子が造園した枯山水庭園。大書院前には、白い砂を海に見立て、苔の緑が島に見立てられている。「鶴島」には樹齢400年の五葉松が植えられており、鶴の首に見立てられており、「亀島」には以前は亀形の松が植わっていたとされる。ちなみに日本では鶴は千年、亀は万年といわれ、鶴と亀は長寿や繁栄の象徴とされ縁起の良い生き物とされている。大書院周辺には霧島つつじが植えられており、5月初旬には真紅のじゅうたんのように花が咲き、枯山水とのコントラストが見事。秋には紅葉の名所としても知られ、真っ赤に色づいた紅葉と白砂のコントラストが美しい。