徳川将軍家の援助のもと発展した寺院
知恩院は、京都市東山区にある浄土宗総本山の寺院。1175年に浄土宗の宗祖・法然が、念仏修行のための草庵を作ったことが起源とされる。現在のような大規模な伽藍が建立されたのは、江戸時代になってからのこと。徳川家康、秀忠、家光らの厚い保護を受け、境内に106ものお堂が並ぶ大寺院へと発展。徳川将軍家から庶民まで、広く信仰を集めたという。
日本最大の木造建築・三門がお出迎え
知恩院の境内は三門などがある下段、中心伽藍がある中段、そして法然廟などがある上段の3つに分かれている。このうち、上段が開創当初の寺域。中段と下段の大伽藍は、徳川幕府の全面的な援助で新たに作られたものである。中でも見どころは、1621年建造の三門。構造・規模ともに現存する木造建築で最大級の二重門である。三門の上層部内部は仏堂となっており、中央に宝冠釈迦牟尼仏像、脇壇には十六羅漢像を安置。天井や柱、壁には天女などが極彩色で描かれ、荘厳な雰囲気を醸し出している。通常は非公開で、特別公開の期間中のみ拝観できる。
知恩院に伝わる七不思議を、その目で
知恩院には、古くから伝わる七不思議がある。そのひとつが御影堂から方丈へと続く鶯張りの廊下だ。この廊下を歩くと、鶯の鳴き声に似た音が出ることから命名。静かに歩こうとするほど音が出るので、侵入者を知らせる役割を担っているという。七不思議の中には、どこから見ても人を正面から睨んでいるように見える猫の絵や三方正面真向の猫や知恩院を火災から守るとされる忘れ傘など、御影堂大修理工事に伴い非公開となっているものも。法然上人御堂の東側では、それらがパネル展示されているのでぜひ立ち寄りたい。