世界遺産の「熊野参詣道」
およそ2000年前から、熊野は浄土の地であると考えられ、庶民から貴族まで様々な階級の人々が、生きながら浄土に生まれ変わることを目指して、辺境の山岳地帯にある熊野へ詣でたことで知られている。中辺路(なかへち)、大辺路(おおへち)、小辺路(こへち)の3つの道のりが「熊野参詣道」として世界遺産に登録されており、最も多く参詣されたといわれているのが中辺路(紀伊路とも言われる)。京都から出発して往復約600km、およそ1ヶ月かけて難行苦行の道のりを熊野本宮大社へお参りしていたとされる。
あるきやすい初心者ルートも
初心者向けで本宮大社への熊野古道のクライマックスを体験できるのが、アクセスのよい道の駅「奥熊野古道本宮」から伏拝王子(ふしおがみおおじ)を通り、本宮大社までの約4キロ、徒歩2.5時間のルート。王子とは参詣途上で儀礼を行う場所で、熊野古道にたくさんあることから九十九王子と総称される。道の駅から伏拝王子までは上り坂や階段が続き、約30分。ここから古道を歩いて熊野本宮大社を目指す。伏拝王子から本宮大社までの古道は、途中は休憩所なども整備され、棚田や茶畑が美しい集落の中や石畳の残る道など、とても美しい古道だ。道標などが比較的整備されているため、初心者でも歩きやすいルートだ。途中にある見晴台からは大斎原の大鳥居を見渡すこともできる。中世の人々も歩いた、美しい林に囲まれた古道を歩いて訪れる本宮大社は格別だ。