23の部屋と29の階段がある寺
1643年に加賀藩の三代目藩主、前田利常(まえだとしつね)によって創建された日蓮宗のお寺、妙立寺(みょうりゅうじ)。開運の祖師として、藩主や家臣だけでなく、身分や宗派を問わず数多くの参詣者が訪れた。外様大名(とざまだいみょう)[1600年関ヶ原の戦い以降に徳川家に従った大名]であった加賀藩の藩主前田は、徳川幕府からも常に監視下におかれ緊張状態にあった。妙立寺は一説では出城(でじろ)[本城とは別に戦術的必要に応じて本城から離して作った城]だったとも言われており、幕府の軍制を迎え撃ち、藩主を守るために、建物全体が迷路状となり、極めて複雑な構造で様々な仕掛けや工夫を凝らした造りになっているため、別名「忍者寺」と呼ばれるようになった。つまり、忍者とは全く関係のない寺なのだ。外観は2階建てだが、中は7層4階建てになっており、23の部屋と29の階段が存在する。本堂正面に埋められている賽銭箱[神様や仏様にお供えするお金を入れる箱]は細工が仕掛けられ落とし穴として利用され、地下への秘密通路へ続く隠し階段、床板を外すと落とし穴の階段、本堂の屋根の部分には加賀平野を遠望できる望楼(物見台)もあった。29か所ものからくりが仕掛けられている。寺の内部のこのような仕掛けの見どころや歴史を約40分かけて、係員の案内の元、見て回ることができる。日本語のみの解説となるが、英語、中国語、韓国語のパンフレットを見ながらツアーに参加可能。電話予約優先だが当日参加も可能。複雑な造りのため未就学児は拝観できないので注意が必要。