島民と観光客の憩いの場
直島のフェリーの発着港でもある宮浦港のすぐそばにある、ひときわ目を引く外観の公衆浴場「I♥湯(あいらぶゆ)」。アートを楽しんだ観光客や、地元の島民たちが憩える交流施設を作ろうと計画されたもので、実際に入浴しながらアートを楽しめる施設。直島の「家プロジェクト」で歯科医院兼住居をアート作品化した「はいしゃ」を手掛けたアーティスト大竹伸朗氏デザインのもと、クリエイティブ集団grafと日本企業INAXの協力によってプロジェクトが進められた。日本の銭湯文化とは真逆のデザイン性で、外観・内装はもちろん、浴槽、風呂絵、モザイク画、トイレの陶器にいたるまで大竹伸朗の世界が反映されている。
圧倒的な大竹伸朗の世界観
浴室の壁画『海女海中図』はタイルを素焼きし呉須(ごす)で絵を描き、光沢を出すために釉薬をかけて本焼きした本格的な壁画。男湯女湯の2種類の壁画がデザインされている。浴室の男湯と女湯の敷居の上象のオブジェが飾られ、インパクトを与えている。シャワーの水洗金具までアートが施され、ハンドル部分にはひとつひとつ異なるアートがあしらわれている。浴室以外にも、トイレや洗面台に至るまで陶器に絵付けされており、あらゆる場所にアートが盛り込まれている。デザインだけでなく、煙が出ないボイラーなど環境にも配慮された設備が使用されている。入口に入ってすぐの番台(受付)では、大竹伸朗氏デザインのTシャツやタオルなどのオリジナルグッズも手に入る。お風呂セットも販売されているので、手ぶらでの入浴も可能。館内での撮影や水着での入浴はできないので注意しよう。