住民の気持ちが込められた“世界一”のベンチ
「世界一長いベンチ」は、能登半島西岸、白い砂と緑の松が美しい増穂浦海岸にある。1987年に、およそ830人のボランティアの人々の手によって組み立てられ、1989年には“世界一長いベンチ”としてギネスブックに登録された。全長460.9mで、現在は世界一ではなくなったが、当時の呼び名のまま「世界一長いベンチ」と呼ばれ、人々に親しまれている。この場所は、夕日の名所としても名高く、小高い場所に作られたベンチは、まさに夕日を見る特等席だ。「多くの人にこの風景を見てほしい」という、市民の思いから作られたベンチである。
端が見えないほど長いベンチには、ところどころにテーブルが置かれ、ゆっくりとくつろぐことができる。晴れた日の青く澄み渡った海、水平線に沈みゆく夕日など、刻々と変わる海の美しさが堪能できる。
淡いピンクが美しい“桜貝”の名所「増穂浦海岸」
「世界一長いベンチ」が置かれる増穂浦海岸は、海の風景だけでなく、色とりどりの美しい小貝が多く打ち上げられる海岸としても有名である。その数、400種や600種と言われており、日本小貝三名所のひとつに数えられている。特に、11月から3月にかけては、貝を寄せる風が吹き、浜には美しい色の様々な小貝が打ちあげられる。特に海が荒れた翌日には多くの貝が打ちあがり、波打ち際に”貝の小道“ができる。冬独特の風景だ。様々な小貝の中でも、桜の花びらを思わせる美しい色の“桜貝”は、“幸せを呼ぶ貝”として愛されている。桜貝は大変に繊細でもろいため、そっと触れないと壊れてしまう。貝拾いを楽しむ際には気を付けて。