宮島随一の由緒ある寺
宮島桟橋から厳島神社を過ぎ徒歩約20分。小高い丘の上、弥山登山の入り口に建つ。古くから厳島神社と一体となり神社の管理・運営にも携わってきた宮島で1200年の歴史がある寺だ。鳥羽天皇勅命の祈願道場や明治天皇が訪れた際の宿泊先となるなど皇室とのゆかりがあるだけでなく、平清盛をはじめ豊臣秀吉、伊藤博文など歴代の権力者からの信仰も厚い。2006年にはダライ・ラマ法王による1200年記念大法要が行われるなどまさに宮島屈指の名刹だ。
広い境内はじっくりまわると2~3時間かかるほど
境内最古の建物、大師堂の地下にあるのは「遍照窟」。四国八十八ヶ所の本尊が安置されており本尊前には各霊場の砂が埋められている。砂踏みをすると四国八十八ヶ所霊場巡りと同じだけのご利益があると言われている。ほかにもひとつだけ願いをかなえてくれる「一願大師」や豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に必勝を祈願した波切不動明王がまつられている「勅願堂」、弥山を開基した弘法大師空海がまつられている「大師堂」などじっくりまわると2~3時間はかかるほど見どころの多い寺だ。
厳島神社の祭祀を管理する寺としての役割
明治時代の神仏分離令までは厳島神社を管理する寺としてお祭りも行ってきた。厳島神社の行事として行われる夏のお祭り「玉取祭」や大晦日の神事「鎮火祭」はもとは大聖院から始まったもの。かつて弥山本堂で行われていた「火渡り式」は年に2回、4月と11月に大聖院で行われる。ひのきの葉などを積み上げて火をつけ、残り火の上を願いがかなうように素足で渡る儀式には多くの人が集まる。