厳島の神をまつる寺
明治時代まで寺院の修理や造営を一手に担う厳島神社の普請奉行として、千畳閣、五重塔、多宝塔を含む“厳島伽藍”の中心的存在だった。参拝者は、昔は大巌寺近くに上陸したあと、風呂で身を清め着替えをしてから厳島神社へ参拝していた。神仏分離令が出されたあと、大願寺は山門と本堂に縮小されたが厳島の大明神「弁財天」がまつられている。この弁財天は、神奈川県の江ノ島、滋賀県の竹生島とともに日本3大弁財天の1つに数えられるほど有名なものだ。
現世利益の女神として信仰を集める厳島弁財天
厳島弁財天は私的に礼拝する念持仏としての働きが強く、参拝者はこの世で得られるご利益“現世利益”を求めてお参りする。ただし秘仏のため見られるのは年に1回、6月17日のみ。弁財天の御開帳に合わせて「厳島弁財天尊大祭」が開かれ、さまざまなイベントが行われる。時期が合えばぜひ穏やかなお顔をした黄金の仏像様にお会いしたい。
重要文化財の仏像やなで仏も見どころ
本堂には国の重要文化財である仏像が4体あり、そのうちの「薬師如来坐像」は弘法大師空海が作ったと伝えられている。また本堂の正面手前には「賓頭盧尊者」といわれるなで仏があり、自分の体の悪い部分を仏様でなでたあとに自分の体をさすると良くなるといわれている。ほかにもパリ万国博覧会に出品された山口県の「錦帯橋」の25分の1模型や初代総理大臣である伊藤博文が植えたとされる珍しい「9本松」など、参拝以外の見どころも多い。