江戸の風情を今に伝える、城下町を歩く
徳川親藩郡上藩四万八千石の城下町、郡上八幡。情緒ある町並みと、13もの寺が狭い町中にひしめき合うことから、奥美濃の小京都とも呼ばれている。中でも職人の家から大きな商家までが軒を連ねる職人町と鍛冶屋町は、国の重要伝統的建造物保存地区にも選定。今でも通りのあちこちに、江戸のおもかげを感じることができる。城下町の散策に疲れたら、「郡上八幡旧庁舎記念館」へ。1936年に建てられた洋風建築で、1994年まで役場として使われてきた。1階には観光案内所やお土産ショップ、軽食を取る場所や休憩所があり、郡上観光には欠かせないスポットだ。2階では「郡上おどり」の体験も可能。レンタサイクルもある。
水のまちならではの、生活風景に触れる
長良川の上流に位置し、奥美濃の山々から流れ出た吉田川、小駄良川など3つの川が合流する場所にある郡上八幡は、「水のまち」とも呼ばれている。美しい水路が走る町中で、有名なのが「やなか水のこみち」。吉田川と長良川から運ばれた玉石が敷き詰められ、柳並木が続く清らかな水路は観光客に人気が高い。また、郡上八幡旧庁舎記念館の横にある「いがわこみち」では3ヶ所の洗濯場が見られ、住民たちの日常的な光景を目にすることができる。
水を上手に使う先人の知恵が、町のあちこちに
町を歩いていると、木や石で作られた大きな水槽をあちこちで目にするだろう。これは「水舟」と呼ばれる郡上八幡特有の水利用のシステム。湧水を引き込んだ2~3曹のうち最初の水槽は飲用や食べ物を洗うために使われ、次の水槽は汚れた食器などの洗浄に。残飯はそのまま下の池に流れ魚のエサとなり、水は自然に浄化されて川に流れこむという仕組みだ。今も多くの家庭や町内で水舟は活躍。その一部は、観光客の喉を潤す水飲み場として開放されている。