もうひとつの善光寺が山梨に建てられた理由
善光寺という名の寺は長野にもある。戦国武将の武田信玄が合戦により長野の善光寺が失われることを恐れ、山梨の甲斐にも善光寺を建ててご本尊や宝を移したのが始まりとされている。現在新たに置かれているご本尊の阿弥陀三尊像は秘仏であり、7年に一度の御開帳のときのみ見ることができる。参道沿いには茶屋や土産物屋が建ち並び、のんびり散策するのに最適。長野の善光寺と合わせて訪れる人も多い。
東日本を代表する重要文化財
現在の建物は1796年に再建されたもの。金堂・山門は江戸時代の技工を凝らした建造物として、国の重要文化財に指定されている。金堂は高さ27m、奥行き49mという大規模な建造物で、全面に屋根がせり出す外観が特徴的だ。入り口に構える朱塗りの山門も幅17m、高さ15mという大規模スケール。そのほか参道沿いに並ぶ緑鮮やかな松並木や風情ある庭園も魅力。
見どころは戒壇廻りと鳴き龍
長野と同様、甲斐善光寺でも「戒壇廻り」をすることができる。戒壇廻りとは金堂下にある「心」という字をかたどった真っ暗な通路を通って鍵を探し、触れることでご本尊と縁が結ばれて極楽浄土にいけるというもの。わずかな明かりも音もない無の世界は想像以上に足がすくむ。金堂の天井に描かれているのは2匹の龍。「鳴き龍」とよばれる場所で、手をたたいて音が反響する様子が龍の鳴き声に聞こえることから名づけられた。