水戸徳川家(茨城)の江戸(東京)屋敷の庭、後楽園
一歩外に出れば後楽園遊園地があり、東京ドーム(スタジアム)がある。若者や家族連れが行き交う賑やかな街、その中に江戸時代に作られた庭園の小石川後楽園はある。小石川後楽園は、江戸時代初期1629年、徳川将軍家に次ぐ地位を持っていた三家のひとつ、水戸徳川家(茨城)の江戸(東京)屋敷の庭として作られた。その後、二代目藩主徳川光圀により改築を経て豪華な庭園は完成した。
歩きながら印象が変わりゆく景色を楽しむ庭園
池を中心に橋や岩などを配置して美しい景観をデザインし、自然界にある山や川を模した、小さな丘や小川を作ることで、庭に居ながら大自然を楽しむことができるよう造られている。また、歩きながら印象が変わりゆく景色を楽しむ、江戸時代に流行した回遊式庭園のスタイルで作られている。当時、儒学思想に影響されていた光圀は、中国スタイルのアーチ形の橋を架けるなど、随所に中国趣味がほどこされているのも特徴で、これらは当時、庭園デザインの最先端のスタイルだった。
見どころ
庭園の最大の見どころは、日本一広い面積を持つ琵琶湖(滋賀県)の風景を表現したといわれる池”大泉水“だろう。昔ここで大名たちは、優雅に舟遊びをしたと言われている。また、中国の西湖を模して造られた“西湖の堤”や明(当時の中国の王朝)の儒学者が設計した“円月橋”、朱塗りの〝通天橋”“なども、自然あふれる風景に融合し美しい。いつ来ても四季折々の花木を楽しめるが、春4月上旬には樹齢60年のしだれ桜を始め、園内の桜が咲き、その風景が一層華やぐ。一方珍しい物では、都内で唯一の水田の庭があること。これは農民の米作りの苦労を教えるために作られたという。夏には稲穂がそよぐその素朴な田園風景に心安らぐことだろう。
小石川後楽園は、1952年には特別史跡、特別名勝に重複指定され、日本でも有数の名園として美しい姿を残し続けている。東京にいながら気軽に訪ねられる日本の名勝。後楽園遊園地で遊ぶ一日もよし、東京ドームで野球を観るもよし。でも庭好きであれば是非ここに立ち寄って、光圀自慢の大名庭園で江戸のロマンに浸るのはいかがだろうか。