神楽坂の風景
昔は花街(芸者街)としてにぎわった背景を持つ神楽坂は、今でも日本の粋と華やぎを匂わせる不思議な街だ。最近は外国人居住者も多く、また、若者も訪れるようになり賑わいをみせる。通りを外れ、路地に入ると昔のままの石畳の風景があり、隠れ家のような料亭が点在する。路地は迷路のようで、ひなたぼっこをする猫、民家の軒先に咲く季節の花々、点在する寺や神社など、あちらこちらの路地をまがった先の風景を楽しみに散策するのが面白い。 神楽坂には大きなランドマークはない。背の高いタワーもない。時代と共に変わりゆく街に、消えることない花街の名残を探しながら歩く、食べる、くつろぐ、それが楽しい。 *花街=芸妓遊びができる街
神楽坂の歴史
神楽坂は、20世紀初頭の大正時代に東京でもっとも華やかな賑わいを見せた花街だった。 1923年の関東大震災以降、日本橋や銀座方面から商人が流れて来て夜店がさかんになり、坂沿いには商店街が建ち並ぶようになったのが街の成り立ち。“文士の街”とも呼ばれ、この風情溢れる花街を愛した作家、文化人も多くいた。近年では、かつての花街のにぎわいは薄れ、新しい店やチェーン店が進出し、マンション建設により、昔の風情は失われつつあるが、今でも5軒の料亭と25人の芸者がおり花街の伝統は残り続けている。また、入り組んだ石畳の狭い路地に料亭という、昔ながらの花街の風景が残っているのは、日本でも神楽坂だけだと言われ、大変貴重な風景となっている。
グルメ天国神楽坂
料亭で芸妓遊びをするのは、“一見さんお断り”という花街のルールがあるため、知り合いの紹介なしで入るのは難しい。しかし、古くから人をもてなしてきた伝統にもとず“く味の町”としての評判は根強い。古くからある日本料理店だけでなく、新規に開店したフランス料理、イタリア料理のほか、個性的なカフェや多国籍料理など、今の神楽坂はグルメ天国として有名だ。決して広くはない街にひしめき合うように建つレストラン、その中で17の店がミシュランガイドで星をいただいているレベルの高さは驚きだ。高級料理店からリーズナブルなビストロなど、値段も幅広い。神楽坂で何をするか?ときかれたら、 “おいしいものを食べる”も、おすすめだ。