皇居を取り囲む堀は桜の名所
この一帯は、皇居を取り囲むように堀で囲まれている。その一部分が千鳥に似ていることから名づけられたこの堀が千鳥ヶ淵だ。
17世紀から19世紀末まで続いた江戸時代には、現在の皇居には将軍の居城である江戸城があった。外敵が容易に侵入できないよう、または江戸の飲料水確保も兼ね堀が作られ、当時半蔵門と田安門に流れていた川を土橋で堰き止めて壕を作ったのが千鳥ヶ淵の歴史である。将軍の時代の終焉後、江戸城は開城され皇室の居城となった。しかし、焼失により今はその城の姿を見ることはできない。当時の面影は失われたが、今なお残る堀に、江戸時代の城跡のなごりを感じることができる。
現在、大使館などが多くあるこのエリアは、閑静で緑の多い地区である。千鳥ヶ淵公園から半蔵門壕にそって遊歩道や公園が続き、北の丸公園に続くこのあたりでは、穏やかにジョギングやウォーキングを楽しむ人々が多く見られる。
桜が咲く3月下旬から4月上旬の「さくらまつり」の頃になると様子は一変する。壕に沿って植えられた170本もの桜が一斉に開花すると、花見を楽しみに多くの人々が集まる。薄桃色の雪のひらが無数に降ったように華麗に咲く豪華なソメイヨシノの満開には、誰もが圧倒されることだろう。夜にはライトアップされ、漆黒の夜空とライトに浮かび上がる桜が幻想的な世界を作り上げる。桜の季節に東京を訪れたなら必ず立ち寄りたい桜の名所である。
千鳥ヶ淵には貸しボートがあるので、桜の季節だけでなくともにボートに乗ってゆっくりすごすのもいいだろう。 このエリアは、北の丸公園、東京国立近代美術館、工芸館、科学技術館、武道館など、散歩に立ち寄る施設も多く隣接しているので、ゆっくり散歩をするのもお薦めである。