日本の原風景が色濃く残る
那須の観光名所「殺生石」のすぐ下にあり、宿泊施設はない共同浴場。開湯は7世紀前半、約1300年前。古文書にも奈良時代の貴族が湯治に来たことが記載されており、江戸時代には各地から大名が立ち寄るなど古くからの湯治場として人気を集めていた。「湯」は薬湯、「治」は治療を意味する湯治は、病気やケガの治療を目的とした温泉。その昔、鹿が傷ついた体を温泉でいやしていたところから「鹿の湯」と名付けられたと言われることからも分かる。
湯治場の雰囲気を味わう
昔ながらの湯治場の風情を残しているため洗い場はなく、シャンプーや石けんも使用できない。まさに心と体をいやすための温泉だ。板張りの浴場に男性は6つ、女性は5つの湯船があり、それぞれ湯の温度が異なるのが特徴。効果のある入浴法として「かぶり湯」をすすめている。かぶり湯とは全国的にも数少ない入浴法で大人およそ200回、子ども100回、ひしゃくで頭に湯をかける。のぼせ防止で頭痛や肩こりにも適応。41度~48度(女性は46度まで)の浴槽から好きな温度を選んで入浴する。3分つかっては休みを繰り返す。1日の入浴回数は4回、約15分程度となっている。鹿の湯は一般的な疲労回復や健康増進にも効く。那須7湯はそれぞれ泉質・効能が異なるため湯めぐりを楽しむこともできる。浴室はさほど広くないため、平日の午前中など空いている時間に訪れてゆっくりつかりたい。