戦国時代を今に伝える天然の岩盤とそびえ立つ石垣群が圧巻
鎌倉時代を起源とする備中松山城は1683年に3年がかりで修築され現在の天守に。この地は東西の主要街道が交差する要地であったため、戦国時代は激しい争奪戦が繰り広げられ目まぐるしく城主交代が繰り返されていた。車やバスで行けるのは8合目のふいご峠まで。その先700mは20分ほど歩いて登る。城までの距離を示した案内板や「あわてずゆっくり」「しばし休まれよ」などの“登場心得”とよばれる看板が点在し、疲れを和らげてくれる。大手門跡にある石垣群は圧巻だ。山そのものが自然の要塞となっていることに加え、高さ10m以上ある天然の岩盤の上に築かれた石垣群はまさに難攻不落の名城。天守は2層2階の独立式天守で小規模ながらも緻密な石垣の上に建てられた天守は存在感十分。天守以外に現存する二重櫓や土塀も含むこの一帯は、白い漆喰塗りの壁と黒い腰板のコントラスト、青い空に映える天守、秋には紅葉した木々で燃えるような朱色におおわれる岩盤など、魅力の多い城となっている。
晩秋が見ごろ。展望台から天空の城を眺める
雲海に浮かぶ城としても知られる備中松山城。車で臥牛山に入り終点間際にある「備中松山城展望台」は9月下旬から4月上旬の早朝は天候、気温差などの条件がそろえば雲海を見ることができる。特に10月下旬から12月上旬の早朝には濃い霧が期待でき、雲海に浮かぶ備中松山城の姿は幻想的で撮影スポットとして人気。