大河内山荘の見どころ
大河内山荘は、映画俳優の大河内傳次郎が創作した別荘と庭園である。34歳（1931年）から64歳で亡くなるまで30年に渡り映画出演料の大半を費やして、この山荘を創り続けたという。
一番の見どころは、遠山や自然の景色をあたかも庭園の一部のように取り込む「借景」という技法を用いた庭園だ。春は桜、秋は紅葉に抱かれ、四季折々の美しい光景を楽しむことができる。中心となる大乗閣からは嵐山を背に、比叡山や大文字、東山三十六峰、徒然草ゆかりの双ヶ丘を眺めることができる。この大乗閣とは、大河内傳次郎が営んだ別荘の中心的な建物で、寝殿造や書院造、数寄屋造と、日本の伝統的な民家の様式を複合させた独特の意匠が特徴で、こちらも一見の価値がある。
さらに園路を進むと、白砂が敷かれ低い松が植えられた枯山水を思わせる場所に、仏像を安置した持仏堂がある。それを過ぎると一面にコケが敷き詰められた、落ち着きある空間に建てられた茶室・滴水庵へとたどり着く。その滴水庵を眺めながらさらに園路をのぼっていくと、保津峡を挟んだ嵐山と小倉山のパノラマが目の前に広がる。この絶景は、ぜひ目に焼き付けたい。嵐山は古くから名所として知られているが、大河内山荘は嵐山の醍醐味が味わえる数少ない場所だ。このように景色が大きく変わる演出も、傳次郎の発案だったといわれている。
茶屋のもてなし
園内を散策したあとは、茶屋で抹茶とお菓子のおもてなしが受けられる。窓から広がる美しい竹林に心も癒されることだろう。ゆったりと時間をかけて、日本屈指の名園と自然豊かな嵐山の景色を満喫したい。
