有名な禅僧は作庭家としてもすぐれていた
夢窓疎石は歴代天皇から7回にわたって国師号を授与された「七朝の帝師(しちちょうのていし)」とよばれる大変優れた僧侶。多くの寺の庭を作庭した庭師としてもすぐれており、瑞泉寺では本堂の裏山、中腹の岩盤に滝、池、中島をたくみにえぐって橋をかけ、滝として流す貯水池まで刻んだ彫刻的手法で作庭。天女洞(てんにょとう)と呼ばれる大きくえぐられた穴や池の部分が長い間泥に埋もれていたため、古絵図をもとにほぼ創建当時の形で発掘、復元された。建物の中から見える風景を意識して作られる書院庭園の起源とも言われている。寺院が多いわりに庭園が少ないといわれる鎌倉で、岩と水だけで大自然を表現した瑞泉寺の石庭は見るべき価値の高い庭といえる。
山の景観を活かした木々が魅力
「紅葉ヶ谷(もみじがやつ)」という地名が示すとおり、この辺りは紅葉が美しいことで知られる。見ごろは11月下旬~12月上旬で鎌倉でも遅めの時期。境内全体が国の史跡になっているとおり、山深さと絶妙に組み合わされた参道、広すぎない大きさの境内、山の景観を活かして植えられた木々などが魅力。紅葉と同じくらい有名なのは梅。入り口の門を過ぎるとずらりと並ぶ梅の木。見ごろは2月中旬からで境内には蝋梅(ろうばい)や天然記念物の黄梅(おうばい)、枝垂れ梅、紅梅、白梅などさまざまな種類の梅の花が咲き、見るものを楽しませてくれる。