今もなお残る昔懐かしい港町の風景
鞆の浦に残されている古い町並みは、江戸時代の町絵図に描かれた街路がほぼ現存していることからも分かる。昔ながらの建物も広範囲に点在し、江戸時代の建物は約80棟、明治期が約90棟、大正・昭和期が約300棟あり、建物の多くは現在も住宅や店舗として使われている。日本の原風景は都市景観100選、美しい日本の歴史的風土100選などに選ばれている。
国の重要文化財を始めとした名所の数々
重要文化財に指定されている「太田家住宅」は瀬戸内海を代表する往時の商家を今に伝える歴史的価値のある建造物。主屋や炊事場、酒蔵が見事に保存されていて、造り酒屋の構えをよく残している。国の史跡に指定されているのは福禅寺の本堂に隣接する客殿「対潮楼」。座敷からの眺めがすばらしく、朝鮮通信使が“日東第一景勝”と賞賛したと言われる。ほかにも鞆の浦で行われる多くの祭りの舞台となる「沼名前神社」や、江戸時代の灯台で鞆の浦のシンボル「常夜燈」など見どころ、名所が多く、散策には時間の余裕を持ちたい。
5月はイベントが目白押し
初夏の風物詩「観光鯛網」は約380年伝わる伝統漁法。観光客も遊覧フェリーに乗船し、鯛網船団の後を追う。漁が終わったあとは観光客も親船に乗船しその場で獲れたての鯛を買うことができる。花火大会は一般的に夏に開催されるが、鞆の浦では5月の終わりに開かれる。弁天島と呼ばれる島から打ち上げられる花火は海上に映え、水中花火や仕掛け花火など凝った演出も見どころ。