名前のとおり「数多くの景勝を集め縮めて表現」した庭園
江戸時代の大名庭園に多く見られた池(ち)泉(せん)回遊式(かいゆうしき)。濯纓(たくえい)池(ち)と呼ばれる中央の池を跨(こ)虹(こう)橋(きょう)によって二分し、大小10余りの島や山、渓谷、茶室、橋、四阿(あずまや)などを巧妙に配置。それらをつなぐ園路によって庭内を回遊できるようになっている。小道を歩くと竹林、水田、茶畑などもあり、まさに日本の風景を凝縮した奥行きのある空間だ。
各部をじっくり見るもよし全体を一望するもよし
庭の中心に位置する広さ8,000㎡の「濯纓(たくえい)池(ち)」は魚や水鳥が集まる癒しの場。美しいアーチを描く「跨(こ)虹(こう)橋(きょう)」。花崗岩製の橋は縮景園を象徴するスポットとなっている。濯纓(たくえい)池(ち)に面した四阿(あずまや)「悠々亭」は古くから納涼茶会や歌会などにも使用されていた。庭園の北西部にひっそりたたずむ「名月亭」はわらぶき屋根の数寄屋造り。秋には美しく紅葉した木々に囲まれひときわ美しくなる。
「迎暉(げいき)峰(ぼう)」は庭園の中でも一番小高い峰。かつては庭の景色の向こうに厳島神社まで一望できたといわれる場所。 四季を楽しめるよう工夫された庭園
春の桜の季節で夜間ライトアップが行われる。夏はスイレンやアジサイが花を開き、涼しげな印象だ。秋は紅葉。もみじ祭りでもライトアップが行われ、昼とは異なる雰囲気となる。冬には椿や梅が咲き誇り、一年がめぐってきたことを知らせてくれる。定期的に開催されるお茶会は誰でも参加できるので花の時期に合わせて訪れたい。縮景園は一年中楽しめるよう意識された庭のため、どの季節でもその時期に一番美しい花を見ることができるのだ。