約140年もの昔の技と道具を用い、当時の佇まいを再現
関所とは、かつて交通の要所に設置された徴税や検問のための施設。この箱根関所は1619年、徳川幕府によって西国に対する江戸の防備と治安を守るために設けられた。1869年に明治政府によって、箱根関所は廃止。以後、跡地は国の史跡とされてきたが、1983年に江戸時代末期に行われた箱根関所の解体修理に関する報告書が発見され、復元されるきっかけになった。2007年に当時の匠の技や道具を用いた大規模な復元工事が完了。およそ140年の時を経て再び、芦ノ湖畔に当時の佇まいが蘇った。
門をくぐれば、まるで江戸時代に迷いこんだような気分に
江戸方面から来た旅人の関所への入口となる「江戸口御門」を抜けると、当時を思わせる風景が目の前に広がる。関所の役人たちが日常生活を送った「大番所・上番休息所」では、江戸時代の生活様式を再現。小道具などもリアルに作られていて、興味深い。下級武士である足軽の詰所であった「足軽番所」では、不審な武士などを留め置く「揚屋」や関所破りをした罪人などを一時的に拘置する「獄屋(牢屋)」などが見学可能。江戸時代をさまざまな視点から学び、楽しむことができる。
関所を見学したあとは、資料館で歴史を楽しく学ぼう
箱根関所の御番所の諸資料をもとに再現した「箱根関所資料館」では、通行手形や古代道中絵図など、関所に関する約130点の資料を展示。「関所を出入る輩笠頭巾をとらせ通すべき」など関所通過の心得を示した高札や、刺股、袖搦み、突棒など関所破りを防ぐための武具、旅人を威圧するために関所詰所に掲げてあったおどし面など、貴重な品々を見学することができる。資料館内には売店もあり、箱根関所をわかりやすく解説した書籍も販売。箱根の伝統工芸である寄木細工などもあり、お土産探しにも最適だ。