当時の人々の暮らしをそのまま引き継いだ家造り
1592年ごろに、会津武士が拓いた集落と言い伝えられている前沢曲家集落。前沢曲家集落は、南会津にある茅葺き屋根の民家が立ち並ぶ集落だ。火事などでの消失を乗り越え、現在の統一した景観へと落ち着いた。今もその美しい景観を守るために、様々な保存の方法が継承されている。周囲の自然に囲まれ、日本のふるさとを代表するような風情を感じる場所である。畑作農耕が中心に行われていたこの地域でも、やはり農業と家畜の関係は密接だった。曲家とは、L字型に曲がった家のこと。当時の人々は、運搬にも利用していた馬や牛と同じ屋根の下で暮らしており、手前にある突出した部分に家畜を飼い、同じ屋根の下で生活をしていた。家畜との生活から離れた現在も、集落の半数の民家は、この曲家を維持している。どこか懐かしく、哀愁を感じる集落をのんびり散策しながら、日本のふるさとを感じられる。
農作業のために様々に工夫された当時の家を再現
実際の曲家を使っている曲家資料館では、昔の農家の人々がどのように生活していたのかを見ることができる。中門造りといって、生活に欠かせなかった馬や牛との密接な生活環境や、農作業などの仕事をいかにスムーズに行うかなど、様々に工夫された当時の家が再現されている。当時使われていた農作業の道具なども展示されている。
日本の農家の四季を楽しむ
前沢の四季は、その季節によってまるで違う風情がある。川の両脇を埋め尽くす桜をはじめ、色とりどりの花で埋め尽くされる。夏は、アヤメやシャクヤクが咲き、水のきれいな場所でしか見ることの出来ないホタルも現れる。秋には紅葉、冬には雪に覆われる。前沢の向いの展望台からは集落を一望できる。