提灯の光で溢れる伝統の祭
威勢のいい掛け声と共にお囃子の太鼓や笛の音が響く中、竹を継いで作られた特大の竿に、提灯を鈴なりに下げた「竿燈」(かんとう)が夜空に上がっていく。その数270本、提灯(ちょうちん)の数はおよそ10000個を超え、会場である竿燈大通りは、稲穂を模した竿燈の灯りで埋め尽くされる。国の重要無形民俗文化財に指定され、200年以上の歴史を持つこの祭りは、「ねむり流し」という夏の睡魔を払う行事から発展し、厄除け、五穀豊穣を願う祭りとして現代に受け継がれている。全国から見物客が訪れ120万人を超える人出でにぎわう。
竿燈を支える華麗な技と祭りを支える伝統職人
優雅に夜空を照らす竿燈の下では「差し手」と呼ばれる支え手が、ひとりで竿燈を掲げる。最大で高さ12m、重さ50㎏、46個の提灯が下がる竿燈を、提灯の火を消さないよう、絶妙のバランスで保ち技を披露する姿は見事。手の平、肩、額、更に腰に乗せる技は最高難度を誇る。祭りに使われる職人の手仕事による提灯も重要な主役だ。和紙で作る提灯は伝統が守られ、丁寧な技により作られている。他にも竹竿、お囃子の太鼓、差し手が着る半纏(はんてん)など、祭りの随所に土地の職人の伝統の技が息づいている。
祭りを盛り上げる数々のイベント
祭りの開期中、近隣では様々なイベントが催される。“昼竿燈”こと「竿燈妙技会」では、竿燈を上げる技を競う大会が開催され、名人技を鑑賞できる。また「竿燈体験コーナー」ではミニチュア竿燈などを使い竿燈の技を体験できる。「竿燈屋台村」や「ご当地グルメフェスティバル」も好評で、郷土料理や地酒が並び、気軽にローカルフードを味わうことができる。