市民に開かれた国際船客ターミナル
横浜の名所山下公園と赤レンガ倉庫の間にある、海に大きく突き出た桟橋がある。それが大さん橋だ。 1859年に開港以来、日本と外国をつなぐ国際港として発展してきた。江戸時代の終わりの19世紀、近代化と国際化が進み始めた時代に誕生、1923年に東京大震災で崩壊、1925年には復旧工事が完成にもかかわらず、時代は戦争へ突入し、第二次世界大戦後は連合軍に接収されるなど数々の時代を超えてきた。その後、1964年の東京オリンピックで高度成長期の好景気に沸く日本において、国際船客ターミナルとしての高機能化が図られ、再び注目を浴びる存在に発展した。 1975年にはクイーン・エリザベス2が初入港し、豪華客船の寄港地としてその存在を確かなものにした。さらに1989年には新たな大改修を経て、現在の大さん橋国際船客ターミナルが完成した。国内、国外からのクルーズ船ターミナル港として役割はもちろんのこと、市民のいこいの場として開放され、レストランやカフェがあり、週末にコンサートが開かれるなど、乗船客のみならず、市民に開かれた国際船客ターミナルとして親しまれている。 大さん橋は、設計を担当したイギリス在住の建築家アレハンドロ・ザエラ・ポロとファッシド・ムサヴィ両氏による”庭のような港“をコンセプトとした美しいデザインも見どころである。 2階は出入国ロビーとしてインフォメーション、発券所、船客待合場所があり、税関、出入国管理、検疫施設 などもある。また多目的に利用できるスペースや商業施設やレストランが一般に開放されている。3階部分には一面にウッドデッキが広がり、芝生が植えられている。広々として解放感にあふれ、自然を感じさせる斬新なデザインは、まるで海上にある公園のようである。休日には寄港する船を眺めながらリラックスして過ごす市民にあふれ、特に大型客船の入出港時等は多くの見物客で賑わう。 ターミナルは誰でも無料で入場することができ、屋上広場は24時間オープンされているので、夜景を見て過ごすのもいい。ここからはみなとみらい21地区、横浜ベイブリッジがよく見える。イルミネーションで輝く景色を見ながら、カフェやレストランで過ごすのもいいだろう。「くじらのせなか」の愛称で市民に愛される大さん橋で、ゆっくり船を眺め、横浜ウォーターフロントの風景を楽しみながらすごす一日もおすすめだ。