平安時代の都・京都を鎮護する役割を担った蓮華峰寺
蓮華峰寺の始まりは、平安時代初頭の806年頃、弘法大師(空海)によって開山されたと伝えられている。当時の都・京都の北東の方角は鬼門とされ、万事に忌むべき不吉な方角とされていた。佐渡は京都にとって北東の海上の鬼門にあったため、空海が寺院を建て都の鎮護を担ったことが始まりとされている。また、京都市と滋賀県大津市にまたがる山に建つ寺「比叡山」もまた同じ方角に建ち「王城鎮護の山」とされ、蓮華峰寺がその同一線上にあることから、小さな比叡山「小比叡山」と称された。蓮華峰寺の名の由来は、小高い山に囲まれた谷地に寺がある独特の地形から、山は花びら、寺は仏が座る場所とされる花の中央にあたり、極楽浄土に咲く蓮の花を思わせることから、蓮華=蓮の花と名付けられた。
山の谷地に点在する古い歴史を持つ美しい文化財の数々
境内には災難を逃れ現存する歴史的建築物が点在する。中でも1459年、室町中期の建築とされる寺の中心「金堂」、1609年、江戸時代初期の建築で、山の斜面に神秘を帯びて建つ「弘法堂」、推定1348年頃築で新潟県最古の建造物「骨堂」の3つは、国の重要文化財に指定されている。境内には蓮池や東屋のほか、寺に優美さと憩いを与え、梵字が施され悠々とした構えの客殿、古びて素朴な佇まいの「小比叡神社」、朱が鮮やかな八角堂、参拝者が紐を引き気軽に突くことができる「鐘楼」など、多くの見どころがある。アジサイの寺としても有名で、6月下旬から7月には境内にある7000本のアジサイが咲き見事な風景が広がる。静寂に満ちた山寺を歩き、のんびりと文化財や自然を満喫できる。