資料総数およそ3万点、宿根木の繁栄の歴史と暮らしぶりを物語る博物館
廻船業の航路として19世紀江戸時代に至るまで繁栄した町「宿根木」の、町の歴史や文化を伝える民俗資料が展示されている。館内は3つの展示室に分かれており、復元された千石船が展示される「千石船展示館」、廃校を再利用し古い時代の生活用品などを集めた「大型展示室」、農具・漁具を展示した「新館」があり、およそ3万点に及ぶ展示資料が所せましと並んでいる。
展示室いっぱいにそびえる復元された千石船
「千石船展示館」では、1853年に宿根木で建造された「幸栄丸」の設計図を基に、日本で初めて千石船の完全復元を実現、「白山丸」と名付け展示されている。全長23.75m、最大幅7.24m、良質な佐渡の一本杉で作られた20mを超える帆柱を持つ。乗船して船内観察もでき、畳敷きの船頭の部屋、神棚、貴重品を納めた船箪笥などが再現され、船員たちの生活を垣間見ることができる。船の制作は、最初に10分の1の大きさで作ったのちに、実寸で作られる。その際に作られた10分の1縮小模型も併せて展示されている。千石船の復元は、佐渡の職人や市民も携わり「市民の力」で実現された賜。7月下旬には「白山丸祭り」が開催され、船が外に引き出され、青空の下で巨大な帆を張る船の勇姿を見る事ができる。
昔の生活がしのばれる旧校舎を利用した展示室
旧宿根木小学校の校舎を利用した大型展示室には、古い時代の着物、仏具、陶器や人形、生活用品などが展示され、廻船業で寄港する土地から運ばれた収集品など、港町ならではの展示物が見られる。また新館には、南佐渡の漁具や農具など、仕事で使われた道具が展示されている。およそ3万点と言われる展示物の中には「南佐渡の漁撈用具」・「船大工道具」が含まれ、それぞれ国の重要有形民俗文化財に指定されている。