琉球王国の拠点として発展した、沖縄を代表するグスク(城)。
1429年から1879年までの450年もの間存在した王制の国、琉球王国。その拠点としての機能を果たしたのが首里城だ。そのモデルは中国の紫禁城とされ、日本の城にあるような天守閣はない。しかし、唐破風など日本の建築様式も随所に。中国と日本の建築様式から、沖縄の風土に合ったものをミックスした独自の琉球建築を見ることができる。1945年の第二次世界大戦の沖縄戦で焼失したが、1992年には、正殿などが復元。しかし、首里城公園として一般公開されているのは、全体(面積約5ha)のうち、ほんの一部だけ。今なお復元の最中なのだ。
朱色に輝く正殿は、首里城見学のメイン。
奉神門(ほうしんもん)をくぐると、首里城正殿のある御庭(うなー)へ。ここから先は、有料エリアとなる。南殿から正殿までは土足厳禁のため、携帯スリッパがあると便利だ。首里城の中心である正殿は2階建てに見えるが、実は木造の三階建て。1階は国王自ら政治や儀式を執り行う場、2階は国王と親族・女官らが儀式を行う場であった。3階は通気を目的とした屋根裏部屋である。御庭から正殿を臨むと、多くの龍を目にすることだろう。中でも注目は、正殿階段の両脇に建つ高さ4.1mの龍の彫刻だ。これは、大龍柱と呼ばれ、龍を皇帝の象徴とする中国でも例がなく、琉球独自のものとされている。
無料エリアにも見どころがたくさん!
城郭外に立つ守礼門は、16世紀中頃に創建。こちらも沖縄戦で焼失したが、1958年の復元以降は沖縄観光のシンボルに。赤瓦を施した美しい佇まいは、2000円札の図柄にも用いられている。その次に見えてくる園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)も、見逃せない。琉球石灰岩で造られた建造物で、国王が外出するときに安全祈願をした礼拝所である。形は門になっているが人が通る門ではなく、いわば神への「礼拝の門」ともいうべき場所。国の重要文化財であり、首里城跡とともに世界遺産に認定されている。