宗派の別なく人々を救済する、珍しい寺院
創建以来約1400年にわたり、民衆の心の拠り所として広い信仰を集めている善光寺。日本において仏教が諸宗派に分かれる以前からの寺院であるため、宗派を問わない寺院として有名だ。また女人禁制があった旧来の仏教の中では珍しく、女性も救う寺として平安時代には全国的に知られるようになった。身分の差も男女の区別もなく、善光寺をお参りすれば誰でも極楽往生できると信じられ、現在でも全国から老若男女が訪れる。
江戸時代中期仏教建築を代表する、本堂
善光寺の一番の見所といえば、本尊・一光三尊阿弥陀如来が安置されている本堂。間口24m、奥行き54mの規模をもつ大伽藍は、国宝に指定されている。木造建築としては、奈良・東大寺大仏殿、京都・三十三間堂・知恩院とともに日本を代表する規模を誇る。古くから大勢の参拝者が本堂(内陣)にお籠もり(宿泊)するのが善光寺詣りの習慣で、明治時代までの中期まで続いたという(現在は行われていない)。約150畳(約250㎡)もの広さを誇る内陣に、その名残りを、垣間見ることができる。
善光寺といえば、数え年で7年に一度の御開帳
信州善光寺で最も有名なのが、数え年で7年に一度行われる御開帳だ。4月上旬から5月下旬ごろまで、約50日間にわたって開催。絶対秘仏である本尊の代わりに、普段は御宝庫に安置されている前立本尊が公開される。期間中、本堂前には回向柱が立てられ、柱に触れようと多くの参拝者が集まる。この柱は「善の綱」によって、前立本尊と結ばれる。そのため柱に触れると、前立本尊に直接触れるのと同じ功徳が得られると信じられている。