1100年を超える長い歴史をもつ伊達家の菩提寺
平安時代の初めの828年、慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が3000人の学生や僧侶と共に松島に赴き寺を建立したのが始まり。その後時の権力者が変わると共に庇護者が変わり、宗派も変わりながら存続し続けたが、1600年、時の将軍伊達政宗が仙台に築城、都を作ると共に、神社仏閣の造営も積極的に行った。瑞巌寺もその中のひとつの寺であり、1609年、5年の歳月をかけ再建され、伊達家の庇護のもと華やかな時代を送った。1800年代半ばには廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の危機に瀕するも存続の努力がなされ、現在なお伊達家の菩提寺として荘厳かつ華麗なる姿を残し続ける。
華麗なる桃山文化の遺産
瑞巌寺は、伊達正宗が情熱を注ぎ、選りすぐりの用材を使い、名工130人を招き完成させた豪華を極める本堂が見どころ。美的感覚に優れていたと言われる伊達政宗は、戦国時代に過ごした京都、大阪で花開いた桃山文化の影響を受け、その文化を東北にもたらしたと言われている。瑞巌寺本堂の内部は桃山美術の粋を尽くし、天井、襖絵、欄間彫刻、障壁画など、金を施し絢爛豪華な極彩色に満ちている。本堂、庫裡(くり)と呼ばれる禅宗の台所は国宝に指定され一般公開されている。
瑞巌寺宝物館「青龍殿」
1995年にオープンした宝物館「青龍殿」は、瑞巌寺の収蔵品を保管展示する目的で建てられ、一般公開されている。主な収蔵品として、10年に渡る修復を終えた国重要文化財指定「本堂障壁画」や、伊達家歴代藩主画像、書跡、茶碗、歴代住職の画、松島に関する絵画や書などが展示されている。およそ30000点に及ぶ収蔵品を、常設、特別展示室にて、季節やその時々のテーマに合わせ展示している。