街中にありながら緑に囲まれた神聖な神社
熊野三山のひとつである熊野速玉大社。新宮駅から徒歩15分にある、熊野三山の中でも一番アクセスのよい神社。朱塗りの神殿が美しく、街中にありながら緑に囲まれた神聖な空気が感じられる。境内にある樹齢1000年の超える梛の木は、日本最大で国の天然記念物に指定されているご神木。古来から熊野巡礼者たちは、梛の葉に熊野の神様が宿っているとして、道中安全を祈り、梛の葉を袖や笠につけて魔除けやお守りにしていた。また、葉脈が縦方向だけにあり横に裂けにくいことから縁結びのしるしとされていた。男女の縁が切れないように、梛の葉を鏡の裏に入れる習わしがあったそうだ。速玉大社では梛の実から作られた縁結びのお守りも人気だ。境内にある神宝館では国宝に指定されている古神宝類を見ることができる。宮中の正装として所持していた檜の薄皮に花鳥風月をあしらい金銀箔をちらした扇「彩絵檜扇」や、化粧道具を収める器物「桐唐草蒔絵手箱」などを見物できる。
538段の急峻な石段を登ると、神倉神社
合わせて訪れたいのが徒歩15分の場所にある神倉神社だ。熊野三所大神が最初に降臨した聖地、神倉山の山上の断崖絶壁にあり、速玉大社の飛地境内となっている。猿田彦神社と神倉三宝荒神社の左手にある朱塗りの鳥居をくぐり、538段もの急峻な石段を登ると、神倉神社のご神体の巨岩ゴトビキ岩(熊野地方の方言でヒキガエルの意味)があり、その横に社殿が設けられている。神倉神社からは新宮市街および熊野灘が一望できる。