神聖な那智山にたたずむ滝の姿は圧巻
和歌山県にある那智山は、古来よりその自然に神が宿っているとして多くの人々から信仰の対象とされてきた。那智山の原生林の中にはいくつもの渓流が点在し、滝の数も60あまり。那智の滝はその自然信仰の対象のひとつで、滝での修行のために訪れる人々もみられる。宗教美術の中でもたびたび登場する、神聖な滝だ。落差は133m、滝壺の深さは10mにもなり、この落差は日本一を誇る。山奥から流れ出る水が、滝壺へ向かって流れ落ちる様子は圧巻。激しさの中に静けさを感じ、多くに人々が信仰対象として心のよりどころにしている事にも納得できる。大晦日にはライトアップされ、その美しさを増す。毎年7月9日と12月27日には、御滝注連縄張替行事が行われ、133mの高さにある滝口に張られている注連縄が張り替えられる。
世界遺産の旅
深い森は、仏教でも仏や菩薩の浄土と見立てられ修行の場としても知られてきた。そのため、紀伊山地には「吉野・大峯」、「熊野三山」、「高野山」の山岳霊場ができ、そこへたどり着くための参詣道ができた。それらを合わせた紀伊山地の霊場と参詣道はユネスコの世界遺産に登録されている。那智の滝の周辺には、熊野地域の信仰の中心として栄え、農林・水産などの神様として知られる熊野那智大社や、那智の滝を背景に際立つ朱色の三重の塔が必見の青岸渡寺、ユネスコの世界遺産の一部で重要文化財の千手観音のある補陀洛山寺、那智山へと続く美しい石畳の熊野古道・大門坂などの見どころ満載。