うさぎの楽園は島全体がまるごと休暇村
休暇村がある以外は完全な無人島。一般車両が走らないこの島ではゆっくりとした時間が流れ、ソテツやヤシの木などの南洋植物で彩られた景色がリゾート気分を盛り上げる。この島が子ども達に人気の理由は“うさぎ”だ。2013年の調査では700羽と報告されている。エサを求めて走り寄ってくる姿が何とも愛らしい。島では“うさぎを抱いたり持ち上げたりしない”“アスファルトの道路でエサを与えてはいけない”などのルールがあるので注意が必要。島での過ごし方もさまざま。釣りやサイクリング、テニス、キャンプなどのアウトドアはもちろん、夏には海水浴場やプールもオープン。透明度の高い美しい海は多くの家族連れでにぎわう。温泉を楽しめることも魅力。休暇村の本館には「大沓(おおくつ)の湯」「小沓(こくつ)の湯」と呼ばれる大小2つの展望浴場があり、それぞれ男女別に用意されている。特に西側の「小沓の湯」からの眺めは格別で、瀬戸内海に沈む夕陽を見ながらの入浴は日ごろの疲れをいやしてくれる。日帰りでも十分遊べるが休暇村では食事や宿泊も可能。
地図から消された島
戦前には農家や畑があり、ごく普通の人の営みがあった大久野島。第一次世界大戦以降、化学兵器を製造する重要な島となり、戦時中は地図からも消されることとなった。島には今も砲台跡、発電場、毒ガス貯蔵庫などが点在。恒久平和を強く願い、島の中心部には「毒ガス資料館」が設けられている。大久野島は戦争の悲しい歴史を背負いながらその後、数十年をかけて緑豊かな自然を取り戻したのだ。