単なる交通手段ではない。登山鉄道は観光そのもの
神奈川県西部、箱根山を登る箱根登山鉄道は日本有数の山岳鉄道。小田原を始点としているが、山岳鉄道は箱根湯本から強羅までの全長8.9km、7駅の区間で標高差は450mにもなる。急こう配はもちろん、ほかにも楽しめるところは3つ。1つはスイッチバック。標高差のある斜面を走るために車両が進行方向を変えながらジグザグに走る方法だ。運転手と車掌も交代する。スイッチバックは3か所あるので、先頭に乗っていた車両は最後には一番後ろになるところがユニーク。2つめは半径たった30mの急カーブ。登山鉄道らしい急カーブはまるで鉄道模型のよう。3つめは早川橋梁。「出山鉄橋」ともよばれ登山鉄道のハイライト区間。国内に現存する最古の鉄橋で高さ43mからの眺めは絶景だ。「かながわの橋100選」に選ばれているほか、登録有形文化財に指定されている。
四季折々の景観も楽しみのひとつ
春の桜、初夏の新緑、梅雨のあじさい、秋の紅葉、冬の雪景色。車窓から見える季節ごとの景色は何度乗っても飽きることはない。「あじさい電車」の愛称を持つ登山鉄道は6月下旬から7月上旬の間、「夜のあじさい号」を臨時運転(全席予約)。また早川橋梁では通常よりもゆっくり走り、その先の出山信号場ではスイッチバックのためしばらく停車するのでどちらもダイナミックな景色を楽しめる登山鉄道ならではの撮影スポットとなっている。