流れない橋への試行錯誤を繰り返した集大成
城を守るためのお堀として選ばれた錦川。しかし幅200mの暴れ川は出水によりたびたび橋を流失。藩政に与える影響は深刻だった。幅5m、長さ93mの5連構造は世界的にもまれだ。反り橋は頑丈な組木の技法により橋上からの圧力でさらに強度が増す仕組み。錦川の川原から橋の裏面を見上げるとダイナミックな構造美をみることができる。また水流に対して流線型をした橋台は水の圧力を軽減する効果があり、周囲に敷き詰められた敷石は橋台の根元を補強している。今でも豪雨のときは橋台上部まで増水、晴れが続けば干上がって川原は駐車場となる。
江戸時代を再現した歴史あるイベントと四季の美しさが魅力
春は1年でもっとも美しい季節。約3000本の桜が川面に映って錦帯橋を取り囲む。さくら舟とよばれる遊覧船に乗って川から景色を楽しむこともできる。毎年4月29日には「錦帯橋まつり」を開催。メインイベントは江戸時代の参勤交代を模した大名行列。城主や奥方などに扮した約60人が錦帯橋や城下町を練り歩く。また岩国藩鉄砲隊による火縄銃の実演は迫力満点。鎧をまとった射手約20人が錦帯橋下の河原に登場し、隊長の号令とともに火縄銃のごう音をとどろかせる。夏は伝統的な鵜飼による夜の鮎漁を鑑賞したり、屋形船に乗ってライトアップされた錦帯橋を見ることができる。8月の花火大会は約6000発の花火が夜空を舞い、川面に映る光景は圧巻。錦帯橋と紅葉も美しい。錦帯橋の雪景色は年に数回しか見られない絶景だ。