永遠には残らない美しさが魅力の砂の彫刻
鳥取砂丘にある、屋内施設の美術館は2012年にオープン。その年ごとにテーマが変わり、例年、展示期間は4月~翌1月まで。砂像彫刻家兼プロデューサーは「世界が尊敬する100人の日本人」に選ばれた茶圓(ちゃえん)勝彦(かつひこ)。毎年世界中から砂像彫刻家を招いて世界最高レベルの砂像を展示している。魅力はなんといっても巨大な展示物でありながら細部まで丁寧に彫刻された芸術の高さ。体育館ほどの広いスペースに並べられた砂像は2階の見学通路を超える高さのものもあり、繊細でダイナミックな彫刻に圧倒される。砂像は水で固めただけの砂の塊を彫る彫刻芸術。素材が砂であるため、製作中から完成後もつねに崩れる危険がつきまとう。そのはかなさの中にある美しさも魅力の1つだ。日没後にはライトアップされ、昼間とは異なる砂像を見ることができる。2014年には3Dプロジェクションマッピングを上映。夕暮れから夜にかけて通常のライティングだけでも迫力のある砂像は映像・音楽と融合し、幻想的な空間をつくり出している。
毎年変わるテーマで世界旅行の気分を味わう
たとえばドイツがテーマのときは、世界の名城25選で第1位に選ばれたイノシュヴァンシュタイン城をはじめ、中世の面影が色濃く残る街並みや白雪姫などで有名なグリム童話の世界観を砂で再現している。圧倒的なスケールと繊細かつ忠実に再現された砂の美術館はまるで世界旅行をしているかのような気分を味わうことができる。